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Lord of Magic Championships 2006


ラウンド 4: 栗原伸豪 vs 鈴木貴大

Written by Daisuke Kawasaki

さて、先日行われた日本選手権において、もっとも重要なトピックのひとつとなったのが「新鋭の台頭」であったことはみなさまにも記憶に新しいだろうと思われる。

兆しは、昨年度の世界選手権での、「ガジーの輝き」の活躍から。そこで、まず、日本の草の根のデックテックが注目を浴び、同じく草の根発のデックテックである「ソーラーフレア」が日本のみならず、世界中の選手権シーズンを席巻した。そんな、デック開発に関わったプレイヤーたちが、先日の日本選手権で大ブレイクしたというのは、すでのこの数ヶ月間で幾度となく語られてきたストーリーである。

そのストーリーの主役格を担っているといえるのが、チームとしての「 GG Jiro 」であり、ともに日本選手権でトップ 8 に入っているこの 2 人であることに依存はないだろう。

そんな 2 人の対戦、熱戦を期待するなというほうがおかしい。

が、うらはらに、フィーチャリングテーブルはまったりとした空気に包まれている。

Game 1

栗原伸豪

先手後手を決める方法として、一般的なのはダイスロールやじゃんけんである。が、昔ながらのコイントスをしたり、腕相撲で決めたりと、かなりレアな方法が選択される事が稀にではあるが存在する。

今回、栗原と鈴木が選択したのは、ダイスロールではあったが、しかし、そこは「地球人最強」と「政治家見習い」のこの 2 人、数字の大小で決めるようなただのダイスロールではない。

栗原:(数字が) 3 に近いほうが勝ちね。

そう、このルールだと、3 が最強で、6 が最弱となる。

例えば実際にあった例だと、栗原が 5、鈴木が 1 を出したのだが、通常であれば問答無用で栗原に選択権が与えられるのだが、このルール下では引き分けとなるのである。

実際より引き分けの可能性が高くなるこのルールは、先手後手を決めるのに向いてないような気がするが、筆者のような凡人にはわからない何かがあるのかもしれない。

最終的には、いいだしっぺの栗原が 6 をだしてしまい、鈴木の先手でゲームがスタートする。

先手の鈴木、《虹色のレンズ/Prismatic Lens》で加速しての《天界の十字軍/Celestial Crusader》、そして《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker》と順当にアタッカーを用意していく。

一方の栗原も、《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad》でマナを加速した後に、《サリッドの殻住まい/Thallid Shell-Dweller》《死胞子のサリッド/Deathspore Thallid》と非常にシステマティックな動き。

クロックとしてさらに《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel》を追加し、《天界の十字軍/Celestial Crusader》には《五制術の護法印/Pentarch Ward》(宣言は黒)と順当に場を組み立てていく鈴木であったが、《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad》をブロックした《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker》には《虚弱/Feebleness》《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel》には《顔なしの解体者/Faceless Butcher》と処理され、一気に劣勢に。

しかし、《入念な考慮/Careful Consideration》で手札を整理し、《ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec》をキャストし、ボードの主導権を譲らない。

《ヴェク追われの盲信者/Zealot il-Vec》によって、《死胞子のサリッド/Deathspore Thallid》は除去されるものの、キーカードである《獣群のナール/Herd Gnarr》をキャストしなんとか揺さぶりをかけようとする栗原。

だが、その頼みの《獣群のナール/Herd Gnarr》《時間の渦/Temporal Eddy》で対処され、地上は《フォライアスの介入者/Foriysian Interceptor》で固められてしまう。

そんな地上戦の攻防の中、コツコツと積み重ねられた《天界の十字軍/Celestial Crusader》のダメージによって、栗原はデックのシステムを発揮しないまま土地を片付ける事となった。

栗原 0-1 鈴木

Game 2

鈴木貴大

さて、構築戦では時のらせんの「タイムシフト」カードたちと、「タイムシフト」する構築デックについてふれたが、「タイムシフト」の影響が濃いのはなにも構築に限った話ではない。

時のらせんは、主にリミテッドで働く分野にも過去のギミックが復活している。代表的な例は、テンペスト、そしてレギオンと収録され、今回 3 回目の登場となった開発部に愛された種族であるスリヴァーであろう。

特に、今回のスリヴァーは、リミテッドでビートダウンしたり、システマティックに動く事を前提にデザインされている節があり、様々なバージョンで楽しめるつくりになっている。タイムシフトカードに依存するつくりにはなってしまうが、スリヴァーによる無限マナギミックまで考えられるくらいである。

一方で、昔からのプレイヤーには非常に懐かしい、そして新しいプレイヤーには目新しいのが《サリッド/Thallid》、通称キノコだろう。

簡単に言えば、3 ターンに 1 匹苗木トークンを生み出すというだけのクリーチャーで悠長なように思われるが、なかなかどうして、リミテッドでシステマティックにピックをすると、非常に強力なアーキタイプとなる。

《胞子撒きのサリッド/Sporesower Thallid》によって苗木トークンが場に出るスピードを加速し、除去である《死胞子のサリッド/Deathspore Thallid》と強化である《サリッドの発芽者/Thallid Germinator》でボードをコントロールする黒緑型が基本となる。やはり、多少加速するとはいえ、コントロールが始まるのが少々遅いのも、0/5 の壁として機能する《サリッドの殻住まい/Thallid Shell-Dweller》でカバーと、《胞子撒きのサリッド/Sporesower Thallid》がアンコモンではあるものの、その他のパーツは顧問で構成できるドラフトのアーキタイプのお手本のような存在だ。

そして、栗原が使用する黒緑デックもまた、この《サリッド/Thallid》アーキタイプをフィーチャーしたものとなっているのだ。

栗原のデックは上記の基本パーツに加えて、苗木トークンを連続で場にだすことによる《獣群のナール/Herd Gnarr》の突然強化システムも組み込まれており、「コモン・アンコモン中心での構築」という意味では、お手本のようなつくりとなっている。

そして、2 本目ではその憂さを晴らすかのごとく、栗原の《サリッド/Thallid》が圧倒的な展開力をみせ、みるみる鈴木のライフを削っていく展開となる。

《フォライアスのトーテム像/Foriysian Totem》も加わり、鈴木のライフはいつしか 2 へと。《入念な考慮/Careful Consideration》でなんとかドローを進めるものの、回答は無い。しかし、ここで鈴木は力強くターンを終了する。

栗原:ムネオ(注:鈴木のこと)の動きが速い…生き残れるのか…乞うご期待!!

と、誰に解説しているのかわからない栗原の解説調の発言に対し、鈴木は

鈴木:見苦しいブロックをお見せしますよ。

と、クールなコメント。

そして、宣言どおりに、1 体で殴ってきた《フォライアスのトーテム像/Foriysian Totem》を場に 2 体だけ存在した《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel》《アヴナントの癒し手/D'Avenant Healer》でブロックし、ダメージを軽減し、見苦しく生き残る。

しかし、見苦しい悪あがきに見えた鈴木のブロックだったが、鈴木は栗原の場に並ぶ《サリッド/Thallid》たちへの解決策となる 1 枚のカードをすでに手に入れていたのだった。

Teferi's Moat

そのカードは、《テフェリーの濠/Teferi's Moat》

緑を宣言された栗原。すでにデックに入っている黒クリーチャーの大半が墓地に行ってしまっているため、鈴木へとダメージを与える事ができない。

だが、鈴木も、栗原の場にある《霊気の網/AEther Web》が邪魔で、《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》などのフライヤーによるダメージを栗原に与える事ができない。

完全なにらみ合い。栗原の場の《サリッド/Thallid》たちの上に、時を刻むように胞子カウンターが乗り続けるのみだ。


鈴木:いい加減にトークン出してくださいよ。

栗原:いやいや、のせるのが楽しいんじゃん。


なかなか、マニアックな趣味を持つ栗原。

だが、さすがに 10 を超えるカウンターを載せる作業には飽きたのか、少しずつ場にトークンを並べ始める。

しかし、どれだけ苗木が場に並ぼうと、お互いのライフレースには一切影響を与えない。永遠に終わらないかと思われた対戦ではあったが、鈴木は、《テフェリーの濠/Teferi's Moat》《入念な考慮/Careful Consideration》で本来のターンより早く手に入れ、首の皮 1 枚つなげた代償として、本来のターンより早くライブラリーが尽きたのだった。

栗原 1-1 鈴木

Game 3

残り時間が少なくなり、悠長だった Game 2 とはうってかわって早い展開となった。

主導権を握り続けたのは鈴木。《巣立つ大口獣/Fledgling Mawcor》《天界の十字軍/Celestial Crusader》とフライヤーを展開し、圧力をかける。

栗原の手札に《霊気の網/AEther Web》が握られているのを読みきった上で、「あえて」フライヤーでアタックし、ブロックさせた上で、《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel》を追加し、攻勢を緩めない。

なんとか、《古木のヴァーデロス/Verdeloth the Ancient》を場にだし、ダメージレースの形にだけでもしたい栗原だったが、栗原の場のクリーチャーが鈴木のクリーチャーたちをブロックできない事を確認した上で鈴木がキャストした《補強/Fortify》が、一瞬で勝負を決めた。

栗原 1-2 鈴木

Winner is 鈴木貴大 !

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