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Lord of Magic Championships 2006


ラウンド 7: 石田格 vs 秋山貴志

Written by Daisuke Kawasaki

別項でドラフトピックを追った、ご存知「関東の巨匠」石田格と、ネット上では ACQUA でおなじみの秋山貴志の対戦。

互いのデックは、石田は「《ジョイラの時虫/Jhoira's Timebug》出ないのかよ……」と言っているように、必須パーツを取りきれなかった青白待機飛行デック、秋山は「《灰毛皮の熊/Ashcoat Bear》最高ですよ」と言っているように、赤緑のマナ域軽めのビートダウン。

赤緑の場合、この環境でもっとも優秀な《巨大化/Giant Growth》系スペルである《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》を使用できないため、自然と《巨大化/Giant Growth》系よりも火力に突破力を頼むことになる。

しかし、秋山のデックは、自身も認めるように、ほとんど火力が取れていない。

そういった意味で、お互い必須パーツの一部を欠いた形のドラフトとはなったが、その他のパーツは十分に強力なカードが取れているので、そのカードパワーで構造上の弱点をどこまでカバーできるかが勝負の分かれ目となるだろう。

また、秋山には、上家の「英知」板東潤一郎とほぼ完璧に近い協調をする事によって、普段ならばありえない順目で取れている秘密兵器たちがある。

それらがどのように活躍するかにも勝負の行方が左右されるだろう。

Game 1

秋山貴志

さて、フィーチャリングテーブルに呼ばれたふたりが、口を揃えて言ったセリフがある。

それは、「なんで、こっちがフィーチャーなんですか?」

そう、この対戦の裏では、同じ 2 番 Pod の対戦として、「浅原 vs 清水」という対戦カードが組まれていたのだ。

浅原と清水の対戦といえば、先日行われた日本選手権の予選ラウンド最終戦で浅原のトップ 8 をかけて行なわれ、引き分けに終わった対戦が記憶に新しいと思われる。

しかし、今大会のドラフトラウンドは、先日の GP シドニーにいったプレイヤーのピックを追い、対戦をお伝えするというコンセプトをもって行なわれているため、一部の「トーナメントマニア」には申し訳ないのだが、「巨匠」石田の対戦を優先させていただく事となった

しかし、筆者もまた、熱心なトーナメントマニアであり、対戦の行方を無視して淡々と目の前のフィーチャリングマッチに集中するのも非常にもったいないと思うので、「一部の熱狂的なトーナメントマニアの為に」という名目で、多少ながらフォローさせていただきたいと思う。


先手は石田。

石田:デッキ的に、2 ターン目には、クリーチャーを出すか、待機しなくちゃつらいんですよね。でも、そのためには 2 マナクリーチャーが足りない。

と、序盤の動きに不安の色を示していた石田ではあったが、ここは順調に、2 ターン目に《高位の秘儀術師、イス/Ith,High Arcanist》を待機と言う立ち上がり。

一方の秋山は、2 ターン目にマナを使わずエンドと言う、怪しい動きではあったものの、キチンと石田が《空飛ぶ男/Flying Men》を出したターンのエンドに《灰毛皮の熊/Ashcoat Bear》を。そのまま《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad》《獣群のナール/Herd Gnarr》キャストと、プレッシャーをかけまくる。

続く《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》のキャストによって、《獣群のナール/Herd Gnarr》は 6/6 に。このアタックによって、石田のライフは大きく削られてしまう。


余談ではあるが、この《獣群のナール/Herd Gnarr》というクリーチャー、環境にシナジーを形成するカードが多く、実際の見た目以上に強力なカードとなっている。

昨日の栗原の使用した《サリッド/Thallid》アーキタイプのキーカードであることはもちろん、赤緑も、他に《巣穴からの総出/Empty the Warrens》などトークンを大量に生み出すカードに恵まれている。また、瞬速というインスタントタイミングでクリーチャーを場にだしうるギミックの存在もまた、このカードの制圧力を高めるのに貢献している。

さながら、神河環境で使われたアーキタイプである「赤緑ラッシュ」の《狩猟の神/Kami of the Hunt》をパワーアップさせたような動きである。

すでに識者の間では速い順目にピックされるカードとなりつつあるが、今後さらに点数が上がっていくカードだろう。


閑話休題。

秋山の仕掛けるプレッシャーは激しいが、しかし、石田ほどのプレイヤーがこの状況で指をくわえ続けているわけがない。

《高位の秘儀術師、イス/Ith,High Arcanist》がベンチから場に出て守備を固めると、軸をずらした航空打線として、《城の猛禽/Castle Raptors》《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel》を追加し、「全員野球」の構えで一気に場を盛り返しにかかる。


しかし、「全員野球」戦略はカウンターに弱い。

秋山の抱える、緑の秘密兵器《突風線/Squall Line》によるツーランホームラン、3 点カウンターアタックによって、石田の航空打線は一気に壊滅状態に陥る。

石田:目が飛びでるかと思いましたよ。

と後に語るように、枚数的にもボード的にもほぼ絶対的なアドバンテージを取られてしまい、絶体絶命状態となった石田。秋山には、文字通り「マジック」が点灯した。


……かに見えたが。ここで、秋山は勘違いからの致命的なミスをおかしてしまう。

石田の場に 1 体仁王立ちする《高位の秘儀術師、イス/Ith,High Arcanist》に対して、《灰毛皮の熊/Ashcoat Bear》《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad》《獣群のナール/Herd Gnarr》の 3 体で果敢にアタック。

これを石田は、《獣群のナール/Herd Gnarr》《拭い捨て/Wipe Away》《灰毛皮の熊/Ashcoat Bear》はブロックして《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad》には《高位の秘儀術師、イス/Ith,High Arcanist》の能力起動と、先ほどのカウンターアタックを挽回しうるくらいに、かなり有利にさばくことに成功する。


すると、ここで秋山が一言。

秋山:《高位の秘儀術師、イス/Ith,High Arcanist》死にますよね。(《突風線/Squall Line》で) 3 点はいってますから。

石田:飛んでないよ。

秋山:!


この、秋山の勘違いからくる致命的なミスで一気に場を立て直した石田は、場に《魔女狩り師/Witch Hunter》を追加する。

この《魔女狩り師/Witch Hunter》は自身のトークンもろとも《地の底のシャンブラー/Subterranean Shambler》で除去した秋山だったが、続いて投入された大型航空新人《ダスクライダーの大隼/Duskrider Peregrine》の打撃力の前に、あえなく土地を片付けることとなった。

石田 1-0 秋山


さて、この頃の浅原・清水戦はというと。


Game 1 (浅原 vs 清水)

浅原晃

一時期、地上は《吸血スリヴァー/Vampiric Sliver》《ナントゥーコのシャーマン/Nantuko Shaman》がにらみ合い、飛行は飛行で《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》がにらみ合うという膠着した状態になったが、まず、これを打開したのがライフレースでもリードしていた浅原の《嵐雲のジン/Stormcloud Djinn》

このクリーチャーをこのまま放置しては、一気に勝負を決められてしまうため、清水は《大火口のカヴー/Firemaw Kavu》をキャスト、浅原のターンに自ら《拭い捨て/Wipe Away》をうち、4 点のダメージを《嵐雲のジン/Stormcloud Djinn》に。

これは当然浅原の《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》で手札に逃げられてしまうのだが、青マナが 1 マナしかない浅原、このターンにキャストする事が出来ない。

この隙に、《なだれ乗り/Avalanche Riders》《島/Island》を破壊、当面の危機を回避、2 体目の《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》をキャストして、逆に自身がクロックをかけられる耐性を整える。

そして、地上の層も厚くするために、《紡績スリヴァー/Spinneret Sliver》を追加する。

ライフレースでの遅れを取り戻す為に、《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》2 体でのアタックを敢行する清水だったが…自身の《紡績スリヴァー/Spinneret Sliver》《吸血スリヴァー/Vampiric Sliver》に「蜘蛛能力」を与えてしまっている事をすっかり失念しており、《吸血スリヴァー/Vampiric Sliver》によって、《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》を 1 体失う。

この《吸血スリヴァー/Vampiric Sliver》は、《大火口のカヴー/Firemaw Kavu》の対象にし、手札に戻させることにした清水だったが、頭を抱えて、自身のミスを呪う。

そして、《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》を除いて、タフネス 2 のクリーチャーで攻勢されていた清水の場が、《島/Island》をひいた浅原の《地の底のシャンブラー/Subterranean Shambler》をキャスト、《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》で手札に戻すという動きで壊滅させられてしまう。

なんとか《幽体の魔力/Spectral Force》を場にはだすものの、浅原が《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》の能力のついででキャストしていた 2 体の《ゴルゴンの世捨て/Gorgon Recluse》はどうにもならず、《嵐雲のジン/Stormcloud Djinn》のブロッカーである《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》《絞殺の煤/Strangling Soot》フラッシュバックで除去されたところで打つ手がなくなってしまった。

浅原 1-0 清水


Game 2

さて、視点を石田・秋山戦に戻そう。

石田は今回も、2 ターン目に《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》待機、続いて《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel》《ちらつくスピリット/Flickering Spirit》と、またも航空打線爆発の「全員野球」の構え。

しかし、秋山も負けずに《ヤヴィマヤのドライアド/Yavimaya Dryad》《獣群のナール/Herd Gnarr》と地上を充実させる。

そして、坂東との協調で手に入れた秘密兵器である《嵐の束縛/Stormbind》が登場。その嵐は、まず石田の《ちらつくスピリット/Flickering Spirit》に襲い掛かる。

「最初に」《嵐の束縛/Stormbind》がマジックに登場した頃にはすでにトーナメントプレイヤーであった石田。それだけに、このカードの恐ろしさは熟知している。

《獣群のナール/Herd Gnarr》《時間の孤立/Temporal Isolation》させ、手札に《補強/Fortify》を握りつつ、クロックをかけ続ける。

しかし、ここで秋山は、「掟破りの超必殺技連打」 4 点の《突風線/Squall Line》! 対して石田は《補強/Fortify》でなんとか《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》を生き残らせ、秋山のライフを削り続ける。

この《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》は手札を 2 枚消費した《嵐の束縛/Stormbind》によってついに除去されてしまうものの、1 枚の手札では除去されない《ヴィセリッドの深み歩き/Viscerid Deepwalker》を場に追加する。

圧倒的な場の制圧力をもつ《嵐の束縛/Stormbind》ではあるが、このように、タフネスの高いクリーチャーを連打される展開になってしまうと、ガス欠を起こしてしまい辛い。ただでさえ、《突風線/Squall Line》で自身のライフを 4 点削ってしまっている秋山に、残された時間は少ないのだ。

石田格

なんとか《ダークウッドのベイロス/Durkwood Baloth》をキャストしてはみるものの、さらに《城の猛禽/Castle Raptors》とタフネスの高い航空打線によって戦力を補強されてしまい、秋山には石田の最後の数点を削りきるターンを与えられなかった。

石田:あの《突風線/Squall Line》で助かりましたね。お陰で、一気に 8 点(《突風線/Squall Line》の 4 点と、《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》のアタックの 4 点)削れたので、最後ごり押しできましたよ。

秘密兵器を引きすぎたゆえのミス、「巨匠」は静かに語った。

石田 2-0 秋山

Winner is 石田格 !


一方の浅原・清水戦。


Game 2 (浅原 vs 清水)

序盤、《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》でドローを加速しつつ、清水の場を《早すぎる埋葬/Premature Burial》《ぶどう弾/Grapeshot》のあわせ技で壊滅させた浅原だったが、土地が 4 枚で止まってしまう。

その隙を逃さず、清水はまず《影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator》《時間の渦/Temporal Eddy》して時間を稼ぎ、続いて《拭い捨て/Wipe Away》でバウンス、さらに《島/Island》《なだれ乗り/Avalanche Riders》で破壊する事で、浅原が事故から回復する妨害する。

そして、圧倒的なテンポアドバンテージと、それにともなってボードアドバンテージを獲得した清水は、《塩水の精霊/Brine Elemental》で浅原の動きを止めた。

浅原 1-1 清水


ここで、星を取り返した清水。

この宿命の対決の Game 3 をフィーチャリングマッチとして取り上げよう。


ラウンド 7: 浅原晃 vs 清水直樹 Game 3

清水直樹

さて、どこかで見たような流れから、どこかで見たように最終ゲームだけフィーチャリングされることになったこの対戦。

「王子」清水のデックは、青緑のテンポデックに、除去の為に赤をタッチしたもの。

浅原のデックは、赤黒青の除去満載デック。

ちなみに、浅原は昨日のドラフトでも、ほぼ同様なデックをくみ上げており、個人的にもなかなか気に入ったデックタイプであるようだ。


2 ターン目《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》、3 ターン目《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》と理想的な立ち上がりをする清水。浅原は、3 ターン目にキャストした《流動石の媒介者/Flowstone Channeler》の能力を起動し、《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》を除去する。

Game 2 とうってかわって、土地ばかりをひいてきてしまう浅原。

なかなか場を展開できない浅原に対して、清水はまたも《なだれ乗り/Avalanche Riders》をキャスト、プレッシャーをかけ続ける。

しかし、《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》《なだれ乗り/Avalanche Riders》が並んでアタックしてきたところで、浅原の秘密兵器である《捕縛の言葉/Word of Seizing》がキャストされ、清水の《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》《なだれ乗り/Avalanche Riders》をブロック。

すでに場に《トレイリアの歩哨/Tolarian Sentinel》のいる清水は、「ダメージのスタック後」に《なだれ乗り/Avalanche Riders》を手札に戻す。


そして、戻して、小さく「あ!」と叫ぶ。


そう、ダメージスタック前に手札に戻していれば、《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》は自身の下に戻ってきていたのだ。

これにより、一気に「クロック」と「浅原の展開の抑止力」の両方を失ってしまう清水。


しかし、浅原も有用なカードを全くひかない。

このマッチで初めて《水深の予見者/Fathom Seer》の能力を起動させる浅原であったが、しかし、そこでひいてくるカードも 2 枚の土地。

双方決め手を欠いた状態で、タイムアップとなってしまう。

因縁の対決は、またも引き分けという結果に終わった。

浅原 1-1-1 清水

Draw Game

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